第65話  相馬vsロベルト

 

太郎とあずさが試合場に駆けつけた時には準々決勝最後の試合が始まろうとしていた。
既に、大岩、下村、志賀などの強豪が準決勝進出を決めていた。

「わー、間に合った」

「凄い。これから本当に相馬先輩とロべが試合をするのか……」

試合場の上では相馬とロベルトが向き合っている。

「どっちを応援すればいいのかな」

「そうですね」

太郎には少し不安があった。

「(相馬先輩は天才だ。しかし、ロベルトも相当に実力をつけている。もしかしてロベルトが相馬先輩に勝ってしまうなんてこともありうるんでは? そうなったら、相馬軍団は一体どうなってしまうんだろうか?)」

 

試合が始まった。

相馬は構えたまま動かない。
ロベルトは相馬の周りをゆっくりと回りながら様子を見ていたが、下段からの攻撃に出た。

「ロべから仕掛けたっ!」

相馬は脛を上げて下段をカットする。
続けざまにロベルトは突きのラッシュを仕掛けるが全て受けられ捌かれる。
膝も、前か蹴りも相馬の身体には触れない。

「相馬先輩得意のカウンターを出さない。全て受けか捌いているだけ」

「お兄ちゃんはどうして攻撃をしないのかな」

「多分、格の違いを見せてるんです。『お前の攻撃は一つも喰らわない。くやしかったら当ててみな』って感じじゃないでしょうか」

「もう、お兄ちゃん。まともに試合しないつもりなのね」

 

試合が始まってから1分が経ったが、いまだにロベルトの攻撃は一つも決まらず、また相馬も一回も手を出さない。
本戦後半で相馬が攻撃に転じた。ロベルトの攻撃に対し全てをカウンターで返す。

今だ実力差は歴然としていた。

ロベルトはなすすべなく本戦で敗れた。

 

試合場から降り、ロベルトは相馬に抱きついた。

「相馬先輩ー! 凄いです! 僕じゃ全然敵わないヨ」

「おいおい、汗まみれの身体でくっつくんじゃねーよ!」

相馬は、ロベルトにげんこつを落とした。

「オー! ソーリー」

「俺様が強いのは当然だが、常日頃お前の組手を見てるんだぜ! 攻撃のパターンは全てお見通しよ」

「オー! さすが相馬先輩」

 

これで準決勝進出の四人が出揃った。
相馬以外の3人はいずれも元全日本王者だ。
昨年同様、相馬と志賀の戦いになる。

 

 

準決勝前、神奈川支部の控えでは、志賀が柔軟をしていた。
辻が声を掛ける。

「また相馬とぶつかるな。なんだか因縁がお前たちを引き合わせているみたいだな」

「押忍。今度こそ負けませんよ。僕は相馬先輩を認める訳にはいかない。天才なんて認めない」

志賀は立ち上がり、会場に向かう。
志賀は相馬との戦いの前、いつも思い出す。

相馬と初めて出会った頃のことを。

 

第38回全日本大会途中経過

 


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