第186話  時を超えて

 

準々決勝は、4試合全てが本戦で決着がついた。

ロベルトはヴィクトールに圧勝。

マイケルもヴィンセントに圧勝。

そしてレオナルドもドンJrに圧勝。

トップ中のトップは、その実力も抜きんでていた。

そして世界大会はついに4人にまで絞られた。
太郎、ロベルト、マイケル、そしてレオナルド。

太郎以外の3人は限界組手において100人抜きを達成している最強戦士達だ。

 

正宗のアナウンスが流れ、4人は壇上の下で試合を控える。

 

二階観客席で、相馬は前屈みになり、壇上を見つめている。

「どうなの? 愛弟子同士が戦うのを見る気分は?」

美雪が相馬に質問する。

「へっ、別にどうってことねーな」

「またあ、強がっちゃって。どうせ嬉しいんでしょうが」

「う、うるせー!」

と、皆と少し離れたところに座っている相馬の隣に、男が座った。

「そりゃあ嬉しいですよね、相馬先輩」

「し、志賀あ」

「志賀君」

相馬の隣に来たのは、太郎と激闘を演じた志賀だった。

「おめーなあ、太郎の野郎にいとも簡単にやられんなよ。お前に負けた俺は、太郎より弱いって思われるだろうが!」

相馬は腕を組みながら、いたずらな笑顔を見せる。

「押忍、すいませんでした。しかし、太郎君はとんでもない強さでしたよ。正直言って全く歯が立ちませんでした。現在、日本最強は彼でしょうね」

「ちっ、偉い褒めようだな」

「今勝ち残っている四人がずば抜けて強いんでしょうね」

相馬は黙ってしまった。
憎まれ口を叩くことも出来ないほど、四人は強い。

「それにしても、太郎君のセコンドはずっと森君一人ですね。でも、次の試合は元板橋道場の二人……皆さんも心苦しいでしょう」

「まあ、セコンドには付いてやれねーが、二人とも応援するよ。決勝の時は、勝った方のセコンドにみんなで押し掛けようぜ。な、美雪、あずさ」

「そうしよう」

「うん」

 

 

 ロベルトとの決戦を前に、太郎はいままでの事を思い出していた。

一緒に相馬の元に入門し、同じ釜の飯を喰らい、同じ部屋で暮らした。

相馬軍団解散とともに、別れ、それからは別々の道を進んだ。

そして今、再開した。
世界大会準決勝の舞台で。

 

『会場の皆さま、大変お待たせいたしました。それではこれより、第10回世界大会準決勝戦を始めたいと思います! 』

 

会場にアナウンスが流れる。
ついにロベルトとの決戦の時がやってきた。

 

『ゼッケン56番、水河太郎、日本! 』

 

太郎は壇上に駆け上がる。

 

『ゼッケン96番、ロベルト・フェルナンデス、アメリカ! 』

 

ロベルトはゆっくりと壇上に昇って来た。

その冷静に引きしまっていた。
太郎の知っているおちゃらけたロベルトではない。

「(そうだ。話すなら、試合後にゆっくり話せばいいさ。今は、拳で……拳で語るしかない。ロベルトだって同じ気持ちのハズだ)」

 

太郎と、ロベルトは壇上で相対し、お互いに礼をする。

太郎が、開始線に戻ろうとする、と。

「……太郎」

「ん?」

ロベルトが口を開いた。

「太郎……見せてやろうよ。僕たちが必死で学んで来た……相馬先輩の空手の素晴らしさを、この会場のみんなに。相馬先輩に!」

ロベルトは明るい表情で太郎に言った。

太郎は溢れてくる涙を必死に堪えた。

「ロベ……そうだな。見せてやろうぜ!」

太郎、ロベルトの相馬軍団同門対決が始まる。

 

第10回世界大会途中経過

 


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