第182話  相馬vs志賀

 

相馬と志賀は深夜の決闘を含めれば、これまで3度戦っている。
しかし、志賀は相馬に一度も勝った事が無い。

全日本を三度も制している志賀にとって、相馬だけは唯一越えることの出来ない壁であった。

 

『それでは、これから第五回戦を始めます! Then, the fifth round will be started in the future!  ゼッケン16番、相馬清彦、日本!  ゼッケン32番、志賀創二、日本!  Number 16 Kiyohiko Souma in Japan! Number 32 Souji Shiga in Japan!』

 

二人の全日本王者は、壇上で対峙する。

会場のボルテージも高まって行く。

 

「相馬先輩……世界大会の大舞台で対戦出来て光栄です」

「へっ!  どこでやっても結果は同じだぜ!」

 

開始太鼓が鳴ると、志賀は猛然と相馬に突進した。
志賀は全てをぶつけて来た。

全日本二連覇の実力は伊達ではなかった。
巨体から繰り出す猛攻に、相馬は得意のカウンターを入れる隙も無い。

加えて相馬は、アレキサンドルとの激闘により負ったダメージが大きく万全ではない。
それでも相馬は要所要所で後ろ回しや踵落としなどの大技を繰り出し会場を沸かせた。

 

本戦は1-0の志賀優勢で引き分けとなった。

だが、延長戦になっても志賀の猛攻は止まらない。

途中、志賀はあることに気付いた。
志賀の右下段に対して、スネ受けをしないのだ。

相馬は素早くクリーンヒットを避けるように横に移動する。

志賀は一転、相馬の左足を執拗に狙い撃つ。
強力な突きで相馬のバランスを崩し、右下段の連打。

相馬は、表情には出さないが、間違いなく動きが鈍ってきた。
後ろに下がる相馬を強引に追い込み、志賀は全身全霊の右下段蹴りを放つ。

志賀の右足の甲が、相馬の左太ももに突きささる。

相馬は無言のまま、膝をついた。

会場がどよめく。志賀は会心の技ありを奪ったのだった。

「おあああー!」

志賀の声が会場に響き渡る。
延長戦の残り時間は10秒足らず。

しかし相馬には余裕の笑みが浮かぶ。

「志賀あ、まさか俺様に勝てるなんて思ってねーだろーなあ?」

 

試合再開と同時に、相馬は志賀に突進し、飛び前蹴りを放った。

志賀の脳裏にある場面が蘇った。

志賀と相馬の初対戦。

総本山道場での深夜の決闘の時に志賀が喰らった技だった。

「同じ技を喰らうかっ!」

高速の前蹴りに対し、志賀は腕を十字にし顔面をガードした。

志賀の腕に相馬の前蹴りが突きささる。
凄まじい衝撃だが、受け切った。

試合時間は残り僅か。

「か、勝った!」

しかし、相馬は飛び前蹴りを志賀に放ち終えた態勢から、上半身を捻った

「なっ! !」

「死にやがれっ!」

相馬の胴回し回転蹴りが志賀の顔面に炸裂する。

相馬はそのまま壇上に倒れ込んだ。

相馬の蹴りが志賀の頬を大きく切り裂き、大量の血が噴き出す。

志賀の脳を大きく揺らした。

「ぐあああああっ!」

志賀は咆哮した。

しかし、倒れずに耐え抜いた。

試合終了の太鼓が鳴る。

会場からは大歓声が起こる。

技ありをとっていた志賀の優勢勝ち。
志賀は、相馬から始めて勝利をもぎ取ったのだった。

志賀は、倒れ込んだままの相馬に手を伸ばした。

「相馬先輩、まさかあそこで胴回し回転蹴りを打ってくるとは思いませんでした」

相馬は、志賀の手を掴み立ちあがった。

「志賀……強くなったじゃねーかよ」

そう言って、相馬は志賀の肩をポンと叩き壇上を降りて行った。
志賀は大粒の涙を流しながら相馬の背に向かって大きく十字を切った。

「押忍っ!」

 

第10回世界大会途中経過

 


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