第179話  アレキサンドルvs相馬

 

『それでは、最終日に残りました選手の皆さまはサブアリーナ横の廊下にお並び下さい。Then, everybody of the player who remained on the final day must line up on the passage on the side of a sub-arena. 』

 

ここまで勝ち残った日本人は、相馬、志賀、太郎、松崎、森、高畑、山岸の7人。
体重別優勝枠からの4人は全員残っている。

アメリカのリチャード、ドンJr、そして限界組手を突破したロベルトとマイケルも当然残っている。

ロシアはアレクサンドルとイワンなどの強豪が。

イタリアはマルチェロ、ヴィンセント。

ブラジルはヴィクトールやジョゼ、そして世界大会連覇のレオナルド。

この中から、第10回世界大会の王者が出てくるのだろうか。

 

 

最終日の開会式が始まる。

32人の精鋭達は、番号順に壇上に並ぶ。

端の列の先頭はロシアのアレクサンドル・マレンコフ。
その横には相馬清彦。

第四回戦で4年前の前回大会の準優勝者と第三位が激突することになったのだ。

館長の不動は開会式の挨拶をする。

「ちょうど1年前、先代館長であり、神覇館創始者の神は、第42回全日本大会の表彰式で、倒れ、そして帰らぬ人となってしまいました。その神の意思を引き継ぎ、我々神覇館はこの1年間をやってきました。そして、前回同様、このような素晴らしい世界大会を開催できることは、神覇館スタッフ、道場生、そしてご来場の皆さまの応援によるものです。心から感謝いたします。」

 

太郎は昨日の事を思い出した。
アルベルトを倒した後。

今思えば、何かに引き寄せられていたような。
気付くと、神木の前に立っていた。

あれは、もしかしたら亡くなった神館長が自分を呼び寄せたのかもしれない。
自分の身体に絡まった鎖を全て取り去ってくれたのだ。

その証拠に今はかつてないほど身体が落ち着いており、それでいてすぐにでも限界まで力が発揮できそうな気がする。

 

『それでは第四回戦を始めます! Then, the fourth round is started. ゼッケン1番、アレクサンドル・マレンコフ、ロシア!  ゼッケン16番、相馬清彦、日本!  Number 1 Alexandre Malenkov in Russia!  Number 16  Kiyohiko Soma in Japan! 』

 

世界のトップ同士の対決が始まる。

身長185cm、体重100kg、ロシア最強の皇帝アレクサンドル。
世界大会二大会連続準優勝、レオナルドに次ぐ最強選手だ。
第一回戦から第三回戦までを全て一本勝ちで勝ち進んだ。

それに比べ、相馬はここまで全て優勢勝ち。
その中には延長戦までいったものもあった。
会場の誰もが、長いブランクがあり、30歳を超え全盛期ではなくなったと見ていた。

しかし世界を沸かせた相馬の大技には注意するに越したことは無い。
アレクサンドルは試合が始まると、固いガードで相馬に近づく。
相馬は回り込みながら、突きや下段を放つ。
アレクサンドルは強烈な膝で相馬をつき離す。

しかし、相馬はこれといって攻めて来ない。
アレクサンドルは相馬が限界と見るや、ラッシュを仕掛けてきた。

二倍はあろうか巨大な拳が相馬のボディーに突きささる。
相馬は受けつつ、下がる。

相馬は試合線の外まで追い出された。

試合が再開してもアレクサンドルの猛攻は止まらなかった。
強烈なワンツーからの下段に相馬の表情も歪む。

 

本戦残り時間残り30秒。
アレクサンドルは最後のラッシュに入った。
巨体からの強烈な下段蹴りの嵐。

相馬はそれをガードもせず受け続ける。

アレクサンドルが渾身の左下段蹴りを放った時、相馬はそこにはいなかった。
アレクサンドルの懐に入り込んだのだった。

「調子に乗って、同じ攻撃ばかり打ちやがって!」

アレクサンドルが相馬に気付いた時には遅かった。
相馬はアレクサンドルのガラ空きになったアゴを真下から横蹴りで跳ねあげた。

アレクサンドルの巨体は真後ろに倒れ込み、そのまま起き上がってこなかった。

会場は割れんばかりの歓声が上がった。

相馬完全復活。
しかも世界2位のアレクサンドルから一本勝ちだ。

アレクサンドルは担架で運ばれ、相馬は壇上から降りて来た。

近くで見ていた太郎も興奮覚めやらない。
相馬は、太郎に気付いた。

「相馬先輩!  凄いです!」

「あんなのどうってことねーよ。それより、準々決勝で待ってるぞ。負けんなよ」

そう言って、相馬はサブアリーナに去って行った。

 

第10回世界大会途中経過

 


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