第174話  第10回世界大会開幕

 

開催初日、総本山の武道場は世界各国の人々でごった返していた。
入口を入ると、大きくトーナメント表が貼られていて、256人の選手達の名前が国名入りで並んでいる。
太郎は56番。
隠岐は来賓ということで、中央の別席に行っているようだ。
固定した道場に通っていない太郎と森は、日本代表でありながら、二人だけで行動しなければならない。
「ついに来たな」
「押忍」
「やっぱ世界大会の会場は雰囲気が違うな」
「押忍、緊張しますね」
トーナメント表を眺めていると、太郎は突然尻を蹴りあげられた。
「うわっ!」
「よう!」
そこには、相馬と板橋道場の面々が立っていた。
美雪に岩村も来ている。
あずさの姿は無いようだ。
「太郎!  ついに来たな!」
「押忍、相馬先輩」
「俺らがぶつかるのは準々決勝だ。なかなかの再開の舞台じゃないか。そこまで負けんなよ!」
「お、押忍!」
そう言うと、相馬は道場生達とサブアリーナに移動した。
岩村と美雪が太郎に近づいて来た。
「太郎君、ついに世界大会に出場だね。いやあ、感慨深いなあ」
岩村は言葉通り感極まった様子だ。
「正宗君は、今回もアナウンス役で来てるから」
「そうですか。頑張ります」
太郎と森は板橋道場の面々と別れ、サブアリーナに向かう。

と、正面には懐かしい顔があった。
「ロ、ロべ……」
「太郎」
ロベルトだった。
三年前に別れたときより、一段と身体が出来あがっていた。
来ているジャージが盛り上がり、その鋼の肉体が一目で分かる。
全日本を制した時よりも、限界組手で見た時よりも、さらに磨きがかかっている。
空手家としてのオーラ。
太郎は何故か言葉が出なかった。
三年という時間のせいだろうか。
「Roberto……」
後ろからマイケル率いるアメリカ選手団が入って来た。
太郎はロベルトから視線を外し、そのままサブアリーナに向かった。
「太郎先輩、良かったんですか? ロベルトさんですよ」
「うん……いいんだ。お互い同じことを思っているハズだ」
「同じこと?」
「離れていた三年間、お互いにいろんなことを経験したと思う。でも語るのは言葉じゃない。語るのは拳だ。それしかない」
午前10時。
第10回世界大会の開会式が始まった。
不動館長の挨拶。
二大会連続王者のレオナルド・フェルナンデスの選手宣誓。
そしてさっそく第一回戦が始まった。
三日間を掛けて四年に一度の世界一を競う戦いが始まる。

 

第10回世界大会トーナメント表

 


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