第163話  第28回体重別全日本大会開催

 

6月。
太郎は、体重別全日本大会前日に大阪入り。
会場の近くのホテルで一息つく。

「うー、やっと着いたなー」

東京から大阪もきつかったが、山海原島から大阪に来るのは大変な移動だった。
セコンドには既に世界大会出場を決めている森。

ホテルのベッドの上で明日行われる試合のトーナメント表を見る。
何度見返しても驚くべきトーナメント表だった。

「森……凄いよな、軽量級」

「押忍。確かに」

ゼッケン1番、辻巧。

4年前の世界大会で引退したハズの辻の名前が載っている。

それだけではない。
特報神覇館記者の渕岡の言うとおり、既に世界大会出場を決めている山城の名前もあった。

「山城選手は、間違いなく太郎先輩と戦いからですよ。それに……」

前大会では軽重量級優勝を果たし、秋の全日本では山城同様世界大会の出場権を得ている宮路の名前も。

「宮路選手の名前もありますよ。絶対、太郎先輩と戦いたいからですよ……凄いっす」

「いや、俺が原因とは決まってないだろが」

そう言いつつも太郎は分かっていた。
山城も、そして宮路も自分との決着を付けに出場しているのだと。

「でも……俺も負けられないしな」

その他にも、百瀬、津川、青山など、太郎と激闘を演じた男達の名前もある。
熱いトーナメントになりそうだ。

しかし、何より太郎を安心させたのは、中量級のトーナメントにあった。

「ゼッケン65番、相馬清彦……間違いないよな」

「押忍。自分も嬉しいです」

相馬が復活をする。

「あれ? よく見ると、重量級の山岸選手の名前もありますよ」

「あれ、本当だ。ロベルトに負けて引退したのかと思ったけど……」

「きっと、太郎先輩や相馬先輩の復活に嬉しくなったんですよ」

「そうか……そうだ、森、うまいラーメン屋連れてってやるよ」

「押ー忍、いいんですか? もう結構遅い時間ですけど」

「体重別の前日には行く店なんだ」

 

 

太郎は森を連れ、道頓堀にあるおなじみのラーメン店へ。

6年前、ロベルトとこっそり来て、宮路に出会った。
3年前、志賀に会った時は、正宗が身体を張ってくれた。

いろんなことがあった店だ。久しぶりのラーメンに舌鼓を打つ。

「いやー、美味いですねえ」

「うん。初めてゆっくり味わったわ。美味いね」

毎回来るとトラブルが起きていた。

「太郎先輩、緊張してますか?」

「いや……それが全くしてないんだな」

「さすが、太郎先輩」

太郎は不思議なほど緊張をしていなかった。
2年半ぶりの試合だというのに。

「まずいな。こんなに緊張感がないと、明日ちゃんと戦えるか心配だぜ」

「太郎先輩。おそらく厳しい稽古のたまものですよ、これは」

「だといいけどな」

明日からの体重別全日本大会で優勝しない限り、世界大会に出場することはできない。

 

第28回体重別全日本大会トーナメント表

 


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